DAVY BACK FIGHT

1. デービーバックファイト編の意味 04/07/19
 (本館サイト「Piracy!」の感想ページより転載したものです)

 ワンピファンの間に不安と疑念の種を振りまいてくれた「仲間が減ります」発言の期限が、2003年中からそれ以降に先送りされ、直後の2004年の前半はその意向を明解に見せつけるかのような「仲間取りゲーム」が展開されたものの、しかし結局、このシリーズで仲間が減ることも増えることもなく、粛々と終息して次へ移ってしまった。

 当初は「2003年中には仲間が減る」展開にまで行きつけるだろうと想定していたからこその、例の発言であったはずなのに、もうすでに期限をオーパーして半年も経過している現状。この整合性のなさは何故? と考えていくと、あの爆弾発言を発した2002年末のジャンプフェスタ、空島編の途中時点の構想では、尾田先生は、空島の後にDBF編を入れる予定は無かったのではないか?という推論に行き着きいたわけです。

 DBF編。このシリーズは必ずしも、この位置に入れねばならない理由は無い、と思われる。ローグタウン〜グランドライン突入以降、「D」の謎を軸に流れてきた本筋とはまったく外れていて、いわばアニメにおける、シリーズの区切りにツナギとして勝手に挿入される「オリジナルストーリー」と扱い的には変わらず、この話自体が丸ごと無かったとしても、前後のつながりには影響は与えない類のものである。

 原作でいえば、唯一ガイモンさんの珍獣島の1編がこのタイプに該当しそうな気がする。原作ではこの話は、ナミを仲間(この時はまだ、仮に、だが)に加えた後、ウソップと合流する直前の区切りに入っていたが、アニメでは確か、ウソップを仲間に加えた後、に移動させていたと記憶している。アニメ側としては先にメインキャラを増やすほうを優先させたからだろうと思われるが、前述の理由でそれでもまったく問題はなかった。

 同様に、このDBF編も、とある島での物語が終息して、次の島へ向かう…というそのポイントであれば、どこにでも挿入可能な話だと思う。ウィスキーピークとリトルガーデンの間、リトルガーデンとドラムの間、ドラムとアラバスタの間、アラバスタと空島の…と。ロビン←→ビビのメンバー構成、ダイアル入手前・後の違いこそあるが、絶対にこれがなければDBF編は成立しなかった、という要素もさして無いだろう。1勝1敗として最終戦でルフィが勝つ、という展開に持っていけばいいのだから、そこまでのメンバーの顔ぶれや、バトルの内容を少々変えればいいだけの話だ。

 要するに、長い島ロングリングロングランドにおいて、デービーバックファイトという戦闘イベントは、格別「必須要素」ではない。ルフィたちがトンジットさんやシェリーと出会い、何らかの原因でシェリーが負傷し(あるいは、すでにしていて)、そこへすぐに青キジが現れる、という展開でも、話の本筋を進めて行く上では何ら支障はない。もっと言えば、長い島やトンジットさん、シェリーすらそもそも必要はなく、何らかの形で青キジと遭遇させて、ロビンの過去、ルフィの親族についての謎をほのめかせ、次の島への方向性を確立する、だけで良かったはずだ。

 で… だからおそらく、私が思うのは、尾田先生の「仲間が減ります」発言が、「実はDBF編でいったん敵側に取られたチョッパーでした〜」のオチで済ませるものでないのだとすると、おそらく現行シリーズ「水の都」編が本命。当初の予定は空島編がもう少し短く終わった後、すぐに水の都編につなげて、2003年ラストに「仲間の離脱」まで持って行く構想だったのでは、と。

 となると「DBF編」とはいったい何だったのか。自分で予告した「2003年中」の期日に間に合いそうにない、と判明した時点で、作者的に「本筋の展開を早く進めなければ」という意識も薄れ、ならばもうこの際と、アラバスタ〜空島と切れ目無しに続いてきた、長〜〜く重〜〜いテーマの呪縛から一時的に逃れ、息抜きしたかったからかな…? と推測する。
 ただ、じゃあそれをせっかくだから、まだ「仲間離脱予想」の熱が冷めないうちに、「負けると仲間を取られるぞ?」といったストレートな設定を打ち立ててファンをさらに惑わそうとした…(ように思える)あたりは、やはり意地が悪いのか、楽しんでるのか。

 ただし無論、「DBF編」が丸ごと無意味だったというつもりはない。この話に関連して出て来た「深海の海賊デービー・ジョーンズ」や「海賊の掟」云々の要素が、重要な伏線として今後にからんでくる可能性は充分ある。ここで言うのは、それでも空島→水の都の合間しか入れられない、というものではなく、ガイモンさん編が、グランドライン前ならば多少の移動が可能であったように、DBF編も挿入位置に自由度のきくシリーズであり、今回はそのストックを急遽ここに挟んできたのではないか、というだけの事。そう考えれば、「2003年中に仲間が減ります」と一度は言っていながら、2004年の半ばを過ぎてもいまだにその公約が達成されないという時間的な不合理にも納得がいく。

 いまだこの発言に固執し続けるのも我ながらどうかと思うのだが、私の中ではかなりの衝撃を与えてくれた事態だったのだから、仕方ない。ここまで感想を長期放棄してしまった遠因(作者やワンピに対してやや冷めた視点になり、絶対的な依存がなくなった)の一端でもあることは間違い無いと思うので。





ONE PIECE 伏線考察研究会 "The study of foreshadowing in ONE PIECE"