1. 「キャラ紹介」の無き人物 01/05/18
ワンピースの漫画内で、これはワンピのみの表現形式として連載当初から一貫して統一されている、ゴーイングメリー号の船縁を連想させるような、角がくるんと丸まった独特のカコミ枠…がある。
1巻冒頭、「富・名声・力…」という例の語りから、すでにそのカコミ枠に収められ、初期の頃はさらに、次回への引きとなる一文を表示させるのにも、よく使われていた。
が、このカコミ枠のもっとも重要な使用用途は、やはりこれから何らかの形でストーリーにかかわってくる人物が出てきた場面の、そのキャラの名前や肩書き紹介、また新しい町に着いた時、その町の名を読者に示すために、どどーんと、あるいはさりげなく、説明文を表示させている、というのが普通である。
主人公・ルフィ自身も、初登場時、そのカコミによって「村の少年モンキー・D・ルフィ」と紹介されているし、むろんシャンクスも、マキノさん、ヒグマまでも、それぞれに大きくコマをぶち抜いて全身像が描かれた場面に登場している。
だが…超・重要キャラであることは間違いないハズなのに、いまだそのパターンにそった紹介がされていないのが、つまり、このドラゴンなのだ。
我々が現在、彼を「ドラゴン」という名だと認識しているのは、スモーカーが彼に対して「なぜあの男に手を貸す!! ドラゴン!!」と口走り(12巻27p)、また、後日のレヴェリー(世界会議)にて、ローグタウンに現れたその男と同一人物だと思われる写真を示して「革命家ドラゴン」と紹介されていた(16巻p114)からに他ならない。
つまりそれは、あくまでもワンピ世界内の人間が、そう認識しているというだけのもので、あのカコミ…いうならば作者公認の「キャラ紹介」としては、まだ「真の名」は明かされていないのである。
ということは、今後、読者のこれまでの認識を一気にひっくり返して、実は、長く「ドラゴン」だと思われていたその男の真の名は、「○○○…!!」というふうにあらためて紹介されてくる余地が、十二分にある、ということだ。
では、なぜそうまでして、「真の名」が隠されているのか、となると、そこはもう、多くの研究者?がすでにあちこちで独自論を展開しているように、彼の名にもロジャー、ルフィ、エースと同じく「D」が付いている…もしくは、それに何らかの深い関わりがあり、だがまだ今のところは、読者にそうと気づかせたくはない…などという場合が考えられるだろう。
なお、この「ドラゴン・竜・龍」に関しては、かつて会議室内で、リヴァースマウンテンへつながる運河に立てられた柱の模様として、「龍」らしき動物が彫られている(12巻48,49p)ことを指摘していた者もいた。もしその「運河」建設者が、そこに何らかの意図を込めて「龍」を彫り込んだのだとすれば、それはまたそれで、かなり意味深な気もする。
ついでに、13巻の見返しの作者のツブヤキ…
「江ノ島には龍がいる。神にもっとも近い生物、それが龍。龍って食えるのかなあ」
…との一文も、どこか作者自身も「龍」に対して、何らかの思い入れを抱いているのではないか、と感じさせられるところがある(最後の一節は、まあ冗談としても)
もちろん、「 ドラゴン」が、かつてのジャンプ人気漫画「ドラゴンボール」を例に挙げるまでもなく、全世界の人間に、神秘・畏怖・邪悪の象徴とされ、各地に様々な伝説を残す偉大な存在であることは事実であり、これが彼にとって単なる「仮の名」であったとしても、そこにあえて「ドラゴン」という強烈なインパクトのある単語を使ってきた、という点が、この場合はむしろ重要に思えるのである…
で、ひとつ、余談。
「作者公認のカコミ枠によってキャラ紹介がなされていないキャラ」として、他に、実は意外にも、ゾロがいる。
その前の話や、これまでの経過で、さんざん「悪名高い海賊狩りロロノア・ゾロ」などと、すでにフルネーム+通称付きで名前が出されていたからなのかもしれないが、というよりもこれはおそらく、ゾロ登場時の話の展開・タイミングの問題だったかもしれない。
そもそもゾロの初登場シーンのポーズが「はりつけ場で縛られている図」で、さすがにあの姿に「ロロノア・ゾロ」との紹介を付けるのは、作者的に気がひけた…だがその後は戦闘シーンが連続し、戦闘終了後もなんとなく、今さら紹介を出すのもかえって妙な感じなので、まー、いいか、とお流れになった…というあたりではないだろうか。