White Bearded Pirates

1. 白ひげ海賊団のマークの不気味 01/01/11
 いつの間にやら、新世紀になってしまい、一時の熱が醒めたかのように、昨年12月はほぼずーっと、論文書きが途絶えてしまっておりました…申し訳ありません。

 で、今回久々の新作発表…ですが、これは少々、新年にはふさわしくなく、かなり苦しい・キツイ内容です。特に、最近とみに目立ってきたエースファンには、猛反発・ブーイングをくらいそうな内容です。ええ、わかっていますとも。

 しかし、もうあえて書かせていただきます。「切れ味の鋭い辛口トーク」こそが、我らが伏考研(謎)の最大の持ち味でもあるはずなので、ここはもう、世間の荒波を押し切って、あえてイバラの道を進ませていただくのです、ハイ。

 で、今回のそもそものきっかけは、伏考研からの年賀メールにも付けていた、「Piracy!」のエースのキャラトークページ用に描いた、背中を見せているエースのイラスト…だった。

 彼が背中に大きく、自身が誇りと崇める「白ひげ海賊団のマーク」を刺青として彫り込んでいることは、むろん以前から承知していたが、そのマークのデザインについては、これまではさほど気に止めていなかった。しかし…

 このマークのベースになっているものは…ひょっとしなくても、「鉤十字(ハーケンクロイツ)」…かの、20世紀最大の悪名高き独裁者、アドルフ・ヒットラー率いる「ナチス」のそれではないか?


ご存知、エースの背中に彫られた
白ひげ海賊団のマーク。
これは私が描いたものだから
実際とは少々違うが…(長さとか)


右のナチスの鉤十字と比べると、
かぎの方向はまったく逆。
(鏡に映した図になっている)
つまりこれは、寺のマーク「卍 (まんじ)」だ。



で、ナチスの鉤十字はこう。
角度はべつにこれが固定ではなく、
線が水平垂直になることもある。



 …私自身の、「ナチス」に関するもっとも有用な情報源といえば、手塚治虫の漫画「アドルフに告ぐ」である(これからあらためて、ナチスのことや当時の状況を知りたい方は、まずこの本から読んでみられることをオススメします。漫画だし、とても入りやすいと思います。文春文庫ビジュアル版で全5巻出てますよ)

 で、ついでに「学研の歴史群像」シリーズの「アドルフ・ヒットラー」なる巻も、実は持っていたりする。ただ、まずはじめにはっきりお断りしておくが、私は決して、ヒットラーを崇めるナチの信奉者ではない。この本は、むしろマイナスの興味、ヒットラーに対して抱いた恐ろしさを、きっちり確認しておきたいゆえに購入したものである。

 ヒットラーが、20世紀に起こった最悪の惨禍・第二次世界大戦において、武力をもって周辺諸国に攻め込み、唯一の優良種と吹聴するゲルマン民族のみの世界、「第三帝国」を築き上げるという妄想のもとに、大量のユダヤ人虐殺を行なったことは、

 もはやここで説明する必要もなく、学校で歴史を学んできた人なら、たいていがご存知だろうと思う (でも、学校の歴史の授業で、近代・現代史って、けっこう駆け足で飛ばされることが多いよね…)

 この、「自分達だけを優良種」として、他民族を平然と虐殺する、いわゆる「選民思想」は、アーロンら魚人たちが実践していたと同じものだ。

 そしてまた、「第三帝国の建設」となると、今度は「作戦名ユートピア」なるものを幹部らに宣言したクロコダイルにも、どこか重なってくるところがある。

 これまで、ワンピ作中では、バギーやクロ、クリーク等、いずれも「他人の命や宝物を平然と奪う悪役」が出てきたが、それでも彼らが「死に」「殺される」ことはなかった。いつかのSBS(4巻p90) でもとりあげられていたように、そいつらの「信念」さえ打ち崩してしまえば、それ以上の制裁は必要なかったのだ。

 それが、アーロン編に突入して、「ベルメールさんの死」を発端に、人の「死」というものが、なんだかどんどん前面に押し出されてきている気がする。

 また、ドラム島・アラバスタに到っては、「国」… 国家のありかた、国王の資質、といったものが、隠れたテーマにあげられるようになってきた。ドラムのように、王制が滅びて民主国家に生まれ変わろうとしている国、またいっぽうで、反乱分子による「革命」に発展しかねない状況に追い込まれている国、など。

 さらには、王たちの駆け引き如何によって、国家同士の戦争にも発展してしまいかねないという危険をはらんだ、「世界会議」なるものの存在も浮上した。

 これまではただ、その戦場戦場で、倒すべき「敵」をぶっ飛ばす、という、お決まりのパターンの繰り返しだったのが、ここに来て突如、世界は急激に緊迫感を増して、広がった。もはや、「誰も死んでほしくない、誰も殺したくない」とも言っていられない、厳しい局面が迫ってきているのだと…それを、ひょっとするとルフィは、本能的に察したのだろうか。


 …で、話を白ひげ海賊団に戻すが、ではグランドラインにおける、白ひげの位置付けとは、はたしてどんなものなのだろうか。

 七武海級の大物なのかどーか、という論は、ひとまず置いておくとしても、彼の率いる海賊団が、グランドライン内に住む人々に、「恐怖」の対象として見なされているのは、間違いないようだ。また、二番隊長エースの顔より、その背中のマークのほうが、人々の記憶により深く焼きつけられていることも。

 あと、なぜかウソップも、白ひげのマークと、その悪名は、どこかで聞き知っていたようである。父が海賊であることを誇りにし、純粋に海賊に憧れていた彼なら、世界中の海賊の噂をどこかで聞き込んできていたのだろう、というのに不思議はないが、しかしその反応は、シャンクス率いる赤髪海賊団に対して見せたものとは、明らかにちがう。

 シャンクスには、もう純粋に憧れのみで、「大海賊」「すげえ船」と絶賛していたウソップが、
「白ひげって、やっぱ、その背中のマーク本物なのか?」と、おそるおそるエースに確認をいれる様は、憧れよりも恐怖心のほうが上回っているようである。ということは、やはりシャンクスらとは、どこか根本的に「海賊」としての体質が違うのだろう。

 また、エースが「二番隊隊長」というからには、当然「一番隊」他、三番、四番…の隊の存在、そこには当然、エースと同格の「隊長」の存在も、かなりの確率でありえそうな気がする。

 となれば、これはもう、「クリーク海賊団」に匹敵する、あるいはそれをはるかにしのぐ、一大組織だ。さらには二番隊の隊長ひとりだけで、五隻の船を一瞬で沈めてしまう、その戦闘力…軍事力も並ではない。

 もし白ひげが、一念発起して持てる勢力をすべて結集させ、自身の野望を実現せんと行動に出て来た場合(もしかすると、もうすでに行動は開始されてるのかもしれないが) …はたしてグランドラインはおろか世界中に、どれほどの影響が及ぼされるのか。

 とはいえ、現状ではまだ、白ひげの正体は謎に包まれたままだし、その男がはたして、彼が率いる海賊団の部下、つまりエースらに対して、どのように自らの信念を披瀝し、何を思って海賊王を目指そうとしているのかは、現段階では何もわからない。

 あと、私は、もちろんエースが、「アドルフに告ぐ」作中の登場人物アドルフ・カウフマン(←少年期にナチス幹部養成校に入れられ、そのままナチズムに感化され、ヒットラーの麾下で将校として出世するも、戦争末期、ヒットラーの自殺によって自らがすがってきた正義・信念のすべてを崩壊させられてしまう…) のように、

 ヒットラーの唱える歪んだ正義を、自らの正義と信じて疑わず、その親衛隊(ナチスSD)の隊長として、恐怖の殺人集団の手先となっていた…言葉を変えれば、ほぼ完全に感化・洗脳されたに等しい状態にあるのだ、とは思いたくない。

 しかしエースも、ルフィの兄で、メインキャラたちにくらべれば年長、常識や分別を備えた大人であったとはいえ、それでもまだ20歳の若さでしかないわけだ。大海賊・シャンクスあたりから見れば、まだまだ、酸いも甘いも噛み分けてない若僧、でしかないかもしれない。

 ルフィと同じく17歳で海へ飛び出し、そのもっとも多感な時期に白ひげと出会った。はたしてそこで、どれほどのカリスマ性を見せつけられ、それがエースの意識にどれほどの影響を及ぼしたのかは、現状では資料が何もないのだから推測で論じるほかないが、しかし、背中にあれだけデカい刺青を彫りこみ、それを「おれの誇りだ」とまで宣言するエースの言動も、あらためて冷静に見てみれば、やはり普通ではない。その心酔・感化ぶりは、少々常軌を逸して深すぎる。

 あと、これは余談であるが、白「ひげ」…といえば、確かにヒットラーも、鼻の下のチョビヒゲを、大衆に自身の姿を印象づけるための、外見上のアピールポイントとして利用していたという。

 もちろん、重ねて言うが、私は決して「白ひげ」を「ナチス」と同一視しようとしてるわけではない。むしろこれに関しては、単なる勘ぐりすぎであってほしい、という思いのほうが強いのだが、さて。

 ■追加…■
 この論文に関連して、早速、会員No.42 ぺぷし氏より、興味深い情報をいただいた。

 上の考察内で私は、アーロンとナチスの選民思想の類似性について述べたが、そのアーロン編突入早々の8巻152p4コマ目にて、魚人のひとりが、ナチスとまったく同様の、鉤十字の刺青をしていることだ。

 これは…何なのだろう。この後に続く展開からして、この当時から尾田先生は、ナチス的なものを「悪」のモデルとしてにじませる意図があったというわけだろうか…?? それとも、単なるノリ?(笑)


2. 白ひげとロジャー・バギーの関係 02/06/14
 ずいぶん長らく、大物海賊であろう事実だけは確かながら、実体がさっぱり不明だった、海賊「白ひげ」。しかしようやく、多くの謎と疑惑を一気に詰め込んで放出させたかのような、第233話「世界最高権力」において、その為人の一部が明かされてきた。

 よってここでは、その断片的な情報から、推測しうるかぎりの妄想をあげていきたいと思うのだが、まず、今回の作中で明らかになった点としては。

●世界政府の最高権力は「五老星」と呼ばれる5人の老人たちが握っており、また彼らは「赤髪」と「白ひげ」の接触を恐れている(またこのあたりの経緯から、「赤髪海賊団」「白ひげ海賊団」ともに、政府公認の海賊「七武海」には加盟していない事実が判明した)

●「五老星」は、どうやら三大勢力の均衡を保つために「七武海」を設置し、またクロコダイルが抜けた後の欠員を、早急に埋めようと画策している。

●バギーはかつて「白ひげ」に会ったことがあり、彼の認識では「白ひげ」は、あの海賊王ゴールド・ロジャーのライバル的存在で、ワンピースに最も近い位置にいる、現時点で最大規模の海賊団を率い、ついでに「仲間への裏切り」を許さない気性の持ち主である。


 ま、とにかく!! 予想をはるかに超える大物だったらしい「白ひげ」に関して、以下、順に推測を展開してみる。

1.白ひげの年齢、およびバギーとの関係
 これに関しては、まず何と言っても「ロジャーとライバルだった」という事実から、やはりかの海賊王と同年代くらいなのだろう…と推測していくのが普通だと思う。

 では、ロジャーの年齢であるが…22年前に処刑された彼は、どう低く見積もっても、30代には達していただろう…と思われる。とすると、それから22年を生きた白ひげは、少なくとも50歳は超えて、もはや初老の域に入っている、「五老星」同様の「お年寄り」なのではなかろうか?

 ただしこの世界、年老いたからといってパワーダウンにつながる例はあまりなく、クック海賊団船長・ゼフや、71歳で砲撃を全身で受け止めて平気だった、謎の老人クロッカス、はたまたDr.くれはのように、元気&最強すぎるご老人の例は大勢いるので、年寄りだからといって、その戦闘能力や立場を危ぶむ理由はまったくない。

 また、それなら現在20歳のエースが、彼を父親世代と見立てて「オヤジ」と呼んでいるのも、まあなんとなく、うなずけるところもあるだろう。

 さて…では、そうなると、今度は彼と直接に会ったという、バギーとの年代差が気になってくる。バギーはかつてシャンクスと共に、同じ海賊船で海賊見習いをしていたのでから、こちらはシャンクスと同年代と考えて、現在30代半ば程度とみるのが順当であろう。

 となれば、その「会った」時の状況は、はたしていかなるものだったのか。バギー海賊団の部下たちやアルビダには、さっぱり白ひげについての認識がない(グランドラインへ入ったのも、バギー以外のメンバーは皆初めてではなかろうか、と思われるフシもある)ので、バギー海賊団結成後、つまり自分自身も海賊団の船長として、対等の立場で、ということは、まず考えられないと思う。

 となると、次にもっともありえそうなのが、やはり「シャンクスとともに、海賊見習いをしていた時代」である。

 当時の彼が、今のルフィたちと同じ10代後半であったと仮定するなら、まあほぼ20年前くらい、ゴールド・ロジャーが死して大海賊時代が幕を開けた…まさにその当時に、ロジャーに匹敵する大物海賊…という認識で、すでに壮年期に達していた白ひげを、畏怖と尊敬の念で見上げたのではあるまいか。

 ただ、その後、自分と同期のシャンクスが、今ではその白ひげと並んで存在を重要視される大物海賊となっているのに比べ、バギー自身は、最弱の海・東の海ではそこそこ有名な海賊、という程度にとどまっている(そしていまだに、白ひげに対して不可侵の怖れを抱いている)点に関して、本人の立場と心境は、どんなものなのだろう??

 ま、バギーの認識では、すべてはシャンクスが元凶(彼のフェイントによってバラバラの実を飲み込むハメになり、海底への探索をあきらめて陸上の宝集めに走らざるを得なかった→人生計画に10年の遅れをとってしまった)ということになっているらしいが。

2.白ひげとゴールド・ロジャーの関係
 白ひげ海賊団二番隊長エースが、ひとりグランドラインを逆行して旅をしていた理由は、「仲間殺し」という海賊船で最大の裏切りを犯して逃亡した、「黒ひげ」海賊団を追うためであった。

 以前のエース登場時、彼の口から聞かされたかぎりでは、てっきりエース自身がそのような裏切りを許せない性分で、何としても自身の手でカタつけるべく、自ら志願してその任についたのではないか…とも思われたのだが、

 バギーの情報によれば、白ひげもまた、そのような行為を嫌う性分らしい…ということなので、これはエース個人の主観よりも、白ひげ海賊団全体に浸透している意識・規律に従って、エースが動かされた、というほうが事実に近いのではないか、という気がしてきた。

 では、彼をここまで「仲間」や「裏切り」に敏感にさせたものは何か?? …と考えると、私はどうも、そこにゴールド・ロジャーがからんでいるのではないか、という疑惑が浮かんできたのである。

 ゴールド・ロジャーと白ひげは、かつてライバルだったというが、最終的にワンピースを手に入れて「海賊王」の称号を手にしたのはロジャーのほうであり、つまり端的に言うと白ひげは、ライバルとの競争に「負けた」のだ。

 では、ひょっとしてこの「ライバル争い」の過程で、何か、ロジャーに「裏切り」「出し抜き」に近い仕打ちを受けたのではないか?

 とか、今自分が、あらためてワンピースを求め、海賊王を目指しているのも、どこか、自分よりはるかに名高い「栄誉」を手にしてくれたロジャーに対する、屈折した嫉み、憎悪に近い感情が根源になっているのではないか? など。

 また、彼とロジャーの間に何らかの確執があったとすると、海賊王たるロジャーが22年前、何故あっさり海軍に捕らえられ、処刑されることになったのか? という、冒頭にイキナリ提示されながら、いまだに解けない最大の謎にも、ひとつの解決点が示されそうに思うのである。

 すなわち、ロジャーに匹敵する強大な力を持ち、彼に嫉み・恨みを抱いた人間から、ロジャーを海軍に売り渡す何らかの画策が背後に動いたのでは…? ということなのだが…





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