■伏線考察研究会・投稿研究論文 No.9■

研究会員番号 No.68 MC氏


ミス・バレンタインとキロキロの実の能力 01/05/13

 キロキロの能力…これは自分の体重を変えられるという能力である。
これは他の悪魔の能力とは完全に異質である。

 なぜなら自分の体重を変えられるという「質力保存の法則」(※1) を真向から否定しているような能力だからである。
他にもチョッパーの「重量強化」もそれに当てはまるが、これは外見からして明らかに体格が良くなっているのでここでは省く。

 悪魔の実の能力だから、と言ってしまえばそれで終りだがここでは敢えて真面目に(?)この現象を考えてみる。
 体重を増やしたり減らしたりする事は現実的に可能なのか?また可能な場合体重を増やしたものはどうなるのかを検証する。

まず体重を変えるという事であるが、これは色々ややこしいので「重量」の増加ではなく「質量」の増加とする。

 体重を増やす事は並大抵の事ではない。しかし食物を摂取すれば体重が増えるのは当たり前の事である。まぁそれには相応の時間を要するのではあるが。

 しかしミス・バレンタイン(以下ミス・VT)は一瞬のうちに体重の増加をしているのである。
質量保存の法則がある限り、何もせずに体重を変化させる事は不可能である。
 つまり体重を増やしたり減らしたりする間にミス・VTは何らかの物質を摂取若しくは放出しているということである。

 例えば汗などをかけば体重が減少する。これは汗の分の質量が外に出た為である。しかしこの場合の体重変化は微微たるものであり、とても1キロなどという軽量化は望めない。

 よく考えてみればこの方法には無理がある。体重が1キロになって生きていられるのか、はっきりいってこれは有り得ない。
 では何故ミス・VTは生きているのだろうか。

 恐らく大気より軽い物質の摂取という方法をとった為であろう。空気より軽い物質…果たしてどんな物が挙げられるのか。
 調べてみた所候補に上がるのは、水素、ヘリウム、リチウムなどの気体ばかりである。しかしミス・VTが体重変化させているのはいずれも大気中である。大気中に含まれている気体…これはかなり限られる事になる。

 大気は大まかに言えば窒素、酸素、二酸化炭素で構成されている。この中で空気よりも軽い物は窒素、逆に重いものは酸素、二酸化炭素である。
 まず体重を軽くする場合から考えてみる。

 窒素は100lにつき3gの浮力を有している。これでミス・VTを1キロにする場合…と思ったが、その前にミス・VTの体重を知らねばなるまい。
 ミス・VTは細身である、目測であるが45kgといったところであろうか。

 この体重を1キロにするまでに吸い込まなければならない窒素の体積(※2) は…なんと15000lである。もちろんこれは窒素のみの体積である。吸い込む時は酸素や二酸化炭素も当然一緒に吸いこまなければならない。

 酸素や二酸化炭素は吐き出すとしても一時的に肺の中に溜めておく必要がある。大気中の窒素の含有量は約78%であるから、これをもとに計算すると…吸い込まなければならない空気の量は18300lである。

 これだけでも大変な値なのだが更に輪をかけて凄いのが一万キロにまで質量増加させる場合である。
この場合吸いこまねばならない気体は酸素と二酸化炭素である。酸素や二酸化炭素は窒素に比べて密度が高い。それでも2つ合わせて100lで13gの質量しか有していないのである。

 この質量で体重を一万キロ(10t)にするには…何か物凄い数値が出てきそうだが、計算したところ約76600lもの酸素と二酸化炭素を吸いこむ必要がある。
 窒素まで含めば3830000l、もう数値が大きすぎて何が何だか分からない世界である。

 しかしこれは大変な数値である。この数値はそのまま肺活量としてあてはめる事が出来るので肺活量も同じ3830000lである。
 これは成人男性の平均肺活量の実に640000倍にあたる。

 これほどの空気を吸いこむと一体どうなってしまうのか。もう「ゴムゴムの風船」どころの騒ぎではない、それを遥かに凌ぐ風船体型になってしまう。
 直径78mなどというとてつもない大きさの風船を想像していただきたい。こんなもの重かろうが軽かろうがどうでも良い、大きすぎて辺り一帯は影になってしまう。

 しかし原作ではミス・VTの大きさは変化していなかった。これはどういう事なのか?
考えられる可能性は空気の圧縮である。肺に収めるのだからせめて1l程度にはしたいところであろう。

 しかし空気の圧縮をすると温度が上昇してしまう。空気を383万分の1に圧縮すると、なんと47万度になる!!
 太陽の表面でさえ6千度であるというのに、ミス・VTはその80倍…。こんな温度なら触れただけで相手は灰になるどころか蒸発してしまう。
 それ以前に近付く事すら出来ないだろう。

 つまり、ミス・VTはキロキロの能力だけでなくメラメラの能力も持ち合わせているのである。何と恐ろしい女性であろうか。


 さて、とりあえず体重を変える事には成功した。問題はその後である。

 はたして体重を変えるとどうなってしまうのか。
 軽くなる時はまだいい、温度についての問題はあるだろうが、その他について大した問題はない。問題は体重を1万キロにした時である。

 背中に10tトラックを背負って歩く姿を想像していただきたい、はっきり言って無理がありすぎる。これだけでも相当すごいのだが、これを攻撃に使うと言うのだから恐れ入る。

 その攻撃とは、ただ1万キロの体重で自由落下するだけのものなのだが。コミックスを参照にしてみると、目測では大体25mくらい跳び上がっている。この高さから10tトラックを背負いながら落ちるのだ。
 こんな事になると自重で自分自身が潰れてしまう。

 敵に避けられた時はもちろんだが、仮に当ったとしても自分もその衝撃で潰れてしまう。
当ろうが当るまいが自分もダメージを負うとは、何とも不思議な技である。

 技を出す度に自分もダメージを負うとは、ミス・VTが何とも不憫に思えてきた。
では何故ミス・VTはこの技を使うのか、恐らく途方もない威力をもっているのだろう。


 具体的にはどれほどの威力なのか? また受けた相手はどうなってしまうのか?それを検証したい。
10tトラックが25m上から落ちてくる事を想像していただきたい、当たればひとたまりもないだろう。しかし幸いにもこの技は命中率が非常に低い。

 一万キロプレスに加えられている力は自由落下のみなので、一直線に落ちてくるしかないのである。これならば避ける事など造作もない、ただその場を離れるだけでよいのである。
 しかし、不幸にもこの技を受けてしまった人物が1人…ウソップである。

 ウソップの為にもこの技の具体的な破壊力を割り出すべきだろう。
まず物体が25m上空から自由落下してきた場合の速度は…時速80kmである。

 つまり走ってくる10tトラックに突っ込んでいくほどのダメージか…あまりにも無謀である。更に受ける衝撃はトラックなどの広い範囲ではなくミス・VTのハイヒールの一転に集中される事になる。
 ハイヒールで踏まれただけでも十分痛いのに…10tで踏まれると普通は体に穴が開く。
 それでもウソップは地面に埋まるだけなのだ。

 その前に、地面に埋まるというのはおかしくないか?
普通は上から10tのものが降ってきたら体が潰れるはずである。にもかかわらず地面に埋まったという事は、地面がそれだけ軟らかかったという事だ。

 人間の背筋力はだいたい140kg、縦からの圧縮にはこれの同程度…つまり140kgまでしか耐えられないと考えて良いだろう。

 つまりその地面は最低でも130kg程度の力にすら耐えられないという事である。
…とするとウソップがいたあの地面に力士が通ろうものならたちまち埋まってしまうという事か。
 しかしその仮説はドリーによって否定される。なぜなら彼もあの地面を通っているのだ。

 彼は当然130kg以上の体重を有している、そのドリーが埋まらないという事は地面が軟らかくなかったという事である。
 という事はウソップの体に1万キロプレスに耐えられるだけの衝撃耐久力があったという事である。つまりウソップは10tトラックにはねられても大丈夫なのだ。アキレんばかりの耐久力である。

 ミス・VTにはもう1つの技がある。
それはウソップに使われた「強くなる石(クレッシェンドストーン)」である。
 原作では10キロ、100キロなどと徐々に体重を増加させていた。あの勢いで行けば最後の方には500kg程度にはなっていただろう。

 この重量は乗用車が腹の上を通過する重さに匹敵する。乗用車の重量は大体1tである。乗用車が腹の上を通過する時、地面には車輪が2つ接しているので自重の半分程度の圧力しかかけられないのである。
 テレビなどでたまに腹の上に自動車を通過させている者を見掛けるが、ウソップもあれと同じ事が出来るのである。

 1万キロプレスはその名の通り10tの重さで攻撃するのだが、何とナミとビビはこれをふっ飛ばしたというのだ。
10tのものを動かすなど中途半端な力で出来る事ではない。
 原作で確認すると6mほど吹き飛ばしている。

 ただこれは、下よりに力をかけたものと思われる。45度の角度で打ち出せば12mは飛ばせたところであろう。
しかしここである事に気付いた。ビビは孔雀スラッシャーを使っているのである。
 こんなものでは切り裂くくらいの事しか出来まい、押し出す力は0と言って良いだろう。
 つまりナミは1人でミス・VTを吹き飛ばした事になる。

 一方ナミの武器は棒である、これならば吹き飛ばせない事もないが…
棒をどう振ったかなどがややこしいので、ここでは野球のバットスイングと同じと考える。
 1人で10tの物体を12m打って飛ばす…こんな事が出来るだろうか?プロ野球選手のフルスイングは衝撃が1tもあるという。

 単純計算するならば、バットに1tの衝撃力があれば150gのものを120m飛ばせるのである。
これを元にして考えよう。

 まず飛ばす距離であるが120mも要らない、12mでいいのだから必要衝撃力が100kgになる。次に飛ばす物体の質量である、野球ボールが約15gなのに対しミス・VTは10tもある。
 飛ばさなければいけない質量は実に67万倍である、要求される衝撃力も67万倍の6万7千t。

 これは凄い、ナミのフルスイングはプロ野球選手の6万7千倍の衝撃力があるのである。プロ野球選手は恐らく100kg程度のものを持ち上げる事が出来るだろう。
 つまり力はバットスイングによる衝撃力の10分の1と考えて良い。

 これをもとに考えるとナミの腕力は6700t!ドリーとブロギーを軽々と持ち上げる事が出来る!(※3)
ここまで力があればパンチ力もただ事ではないはずだ。

 100kgの腕力がある者に500kgの衝撃のパンチが打てるとしよう。するとナミは衝撃力が34000tのパンチを撃てる事になる。
 クロオビの正拳を受けたサンジは「あいつの正拳が40段ならクソジジイの蹴りは400段」などと言っていたが、ナミのパンチはこんなものではない。

 段が10倍になると衝撃力も10倍になるならば、ナミのパンチは6800段である(※4)
こんなパンチを食らっては一般人なら即死である。何しろダイナマイト170t分に匹敵する破壊力がナミの拳に集中するのだ。

 これまでナミは拳でルフィとゾロの喧嘩を止めたりしていたが、威力を考えれば簡単に止められて当然だったのである。
 それでも極端に丈夫なウソップやゴム人間のルフィはまだ良い、ゾロやサンジはナミに殴られないよう注意しよう。

 意外な結論ではあるが…麦わら海賊団の最強は、やはりナミであった(笑)


※ 1 質量保存の法則・・・物質は化学変化等を起しても変化前の質量と変化語の質量が等しいという法則。これは原子量が変化によって変わらないためである。

※ 2 窒素のみを抽出・・・これについてであるが電気分解を利用すれば可能である。ミス・VTの体内で電気分解が施されていたと考えよう(無理矢理?)

※ 3 ドリーとブロギーを持ち上げる・・・彼らは2人とも体格が良い。ドリーはプロレスラー、ブロギーは力士程度の体格があると見ていいだろう。
 ドリーの顔はルフィの身長程度あったので全身はその7倍・・・13m程度である、ブロギーは6倍の11m程度であろう。
 これをもとに体重を計算するとドリーは38t、ブロギーは39tの体重がある。腕力6700tのナミにしてみればこの2人を持ち上げるなど造作もない。
 普通の人間にしてみれば、300gの砂糖の袋を2つ持つより軽い事になるのだから。

※ 4 6800段・・クロオビの正拳の衝撃力はボクサーの10倍、5tとして良いだろう。サンジの言う「40段」とは百枚瓦正拳をうけての感想である。
 クロオビの本気の正拳は上の10倍の威力であろう千枚瓦正拳なので実際はゼフと同じ400段である。6800段とは千枚瓦正拳を40段と置いた場合の段数である。





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